Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.186

コロキウム室



NO.1495 2004.11.1.水の流れ高次の因数分解(1)

第146回数学的な応募問題

高次の因数分解を問題にします。次の式を因数分解しなさい。

問題1:x15−1

問題2:x15+1

問題3:x21−1

問題4:x35―1





NO.1496 2004.11.5.Junko高次の因数分解(2)

問題1:
x15-1の因数分解ですが、(x5)3-13とおけることから、

    x15-1=(x5-1)(x10+x5+1) =(x-1)(x4+x3+x2+x+1)(x10+x5+1)

と因数分解ができます。一方、x15-1は、(x3)5-15とおくこともできますから、

    x15-1=(x3-1){(x3)4+(x3)3+(x3)2+x3+1} =(x3-1)(x12+x9+x6+x3+1) =(x-1)(x2+x+1)(x12+x9+x6+x3+1)

両者を見比べると、x2+x+1が、x4+x3+x2+x+1 または、 x10+x5+1 を割り切ることがわかります。実際に計算をしてみると、

    x10+x5+1=(x2+x+1)(x8-x7+x5-x4+x3-x+1)

であることがわかります。従って、以下のように因数分解できることになります。

    x15-1=(x-1)(x2+x+1)(x4+x3+x2+x+1) (x8-x7+x5-x4+x3-x+1)





NO.1497 2004.11.8.UnderBird高次の因数分解(3)

x15-1=(x-1)(x2+x+1)(x4+x3+x2+x+1) (x8-x7+x5-x4+x3-x+1)

私も同様に考えましたが、 (x4+x3+x2+x+1)や (x8-x7+x5-x4+x3-x+1)が もうこれ以上整数の範囲で因数分解できないことは、示していません。 実際コンピュータで求めるとその通りですが、これらの多項式が既約であることの チェックはどうしたらよいか 悩んでます。

因みに、(x4+x3+x2+x+1)の因数分解の場合、 1次との因数分解の可能性については、因数定理より判断できますが、 2次の場合の因数があるかは一々、(x2+Ax+B)(x2+Cx+D)と置くのも、これ以上高次 の場合には一般性に欠けますよね。



NO.1498 2004.11.8.Junko高次の因数分解(4)

実は私も同じことを考えていました。 実数の範囲(整数の範囲?)を前提にすると、もうこれ以上因数分解できないということを示さないと いけませんよね。

複素数の範囲で考えれば、方程式x15-1=0の解は、1の15乗根ですから、複素平面上において、 単位円を15等分した点で表わされることになります。

    z=cosθ+i sinθ  (ただし、θ=2kπ/15  k=0,1,2・・・14)

このことから実数解は「1」だけだということもわかります。 従って、1次の因数は(x-1)だけだということになります。それでも例えば、(x4+x3+x2+x+1)が 2次と2次に因数分解できるという可能性を否定できませんね。

ところで、15個ある方程式x15-1=0の解は、kの値によって、 以下のように分類できます。


これが、因数分解の次数と一致しています。偶然ではないですよね?



NO.1499 2004.11.23.水の流れ自然数の和(1)

第147回数学的な応募問題

<今回は、2002年の大阪教育大学の入試問題です。>
 自然数nをそれより小さい自然数の和として表すことを考える。
ただし、1+2+1と1+1+2のように和の順序が異なるものは別の表し方とする。
 例えば、自然数2は1+1の1通りの表し方ができ、 自然数3は、2+1,1+2,1+1+1の3通りの表し方ができる。

問題1:自然数4の表し方は何通りあるか。

問題2:自然数5の表し方は何通りあるか。

問題3:2以上の自然数nの表し方は何通りあるか。




NO.1500 2004.11.26.yokodon高次の因数分解(5)

ちょっと気になる記載(NO.14961498)に対する、 大きなお世話です。
 代数学の基本定理によれば、全ての実数係数の多項式は複素数の範囲で1次式の積 に因数分解されることが知られており、且つ n 次多項式が m 個の実数根と q 個の 虚数根(→、ここに「虚数」とは、虚数部分が0でない複素数の意味にご理解下さい )を持つとき、q は偶数で q = 2p と置けて(つまり、p 組の共役複素数が根にな る)、m + 2p = n となることもすぐ分かります。
 この事を使うと、No.1495 の問1は、実数係数の範囲で以下のように因数分解でき るはずです。

  

        但し、θk = 2kπ/15,  k = 1, 2,..., 7
 ここに、

    zk = cos(θk) + i・sin(θk) , k = 1, 2,..., 15

と置くと、k = 1, 2,..., 7 に対して、

    z15-k = (zk)*

(ここに、複素数 z に対して、その共役複素数を z*で表すことにさせて下さい)
であることを用いました。このことから、例えば z1 と z15 を解に持つ2次方程 式として、

    x2 - cos(θ1)・x + 1 = 0

・・・を考えることが出来ます。他も同様です。
 このことは、整数係数の範囲での因数分解の「限度」を考える上で、参考になると 思います(現在は、そこまで考える元気がありませんw)。
 一般に、「因数分解せよ」という問題は、以上の意味で「どこまで因数分解するこ とを求められているのか」に関して、ちょっと悩みますよね。f(^^;




NO.1501 2004.11.27.yokodon互いに素な数の列

 数列 {an}, {bn} を以下で定める。

a1 = 1, a2 = 3,  an+2 = 4・an+1 - an
b1 = 1, b2 = 5,  bn+2 = 4・bn+1 - bn   (n = 1, 2, 3,...)

(1)

  

が、n = 1, 2 で成り立つような2次正方行列  を求めよ。
また、この時 (*) が任意の自然数 n で成り立つことを示せ。

(2)任意の自然数 n に対して、an と bn は共通な素数の約数を持たないことを 示せ。








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