Colloquium

NO.227
Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.227

NO.1709   無限次代数方程式と超越数   2008.1.28  K.F.

一部修正 1.29.23:00

実数が有理数と無理数からなることは、高校生なら知っています。無理数が代数的(無理)数と 超越数からなることは、理科系の数学が好きな大学生なら知っています。
ここで代数的数とは、有理係数代数方程式
   anxn+an-1xn-1+・・・+a1x+a0=0(n≧1,an≠0かつ各aiは有理数)   ・・・式.1
の解となる数のことで、全ての有理数および ルート2 などの無理数がそれにあたります。
一方、超越数とは、式.1の代数方程式の解とならないような実数(正確にいえば複素数)のことで、 代表的な超越数には、ネイピア数eや円周率πがあります。 また、高校で学ぶ 2のルート2乗 も超越数です。
ところが、ここでいう代数的数とは、あくまで式.1の代数方程式の次数が「有限」の場合の解となる 数のことであって、次数が「無限大」の場合には、その解が超越数となる場合があります。
例をあげると、三角関数 sin x をTaylor展開すれば、

   
となりますが、 sin x=0 という方程式を考えると、その解は、
   x=0,±π,±2π,±3π,・・・
となります。といことは、

   
という次数が無限大の代数方程式の解は、±π,±2π,±3π,・・・ということになり、 全て超越数になります。
有限集合で成り立つことが、無限集合では成り立たないことは、 カントールの集合論により、よく知られています。
また、無限回の操作を許せば、定規とコンパスだけで与えられた角の3等分もできます。 こうしてみると、無限という概念は、人間が考えた最も興味深い概念だとつくづく思います。
ところで、この問題の「逆」は成り立つのでしょうか? すなわち、「全ての超越数」は次数が無限大の 代数方程式の解として表されるのでしょうか? 興味深い問題です。

<追記>
式.2〜式.3の結果から、

   
と書き表されることがわかります。ここで、式.4の右辺を展開し、x2の項を比較すると、

   
であることがわかり、

   
が成り立つことから、

   

であることがわかります。 これも非常に興味深いことです。

NO.1708  ガウスの格子点問題  2008.1.28  水の流れ

一部修正 1.31.23:00

第203回数学的な応募問題


皆さん、2007年度大学入試問題集(数研出版)にある首都大東京大学の入試問題を 参考にして次の問題を作りました。 なお、3大数学者の一人であるドイツのカール・フリードリヒ・ガウス(1777〜1855年) がこの極限値を求めています。


注:この記事に関する投稿の掲載は、2008年2月18日以降とします。

NO.1707   トリチェリの問題(2)  2008.1.28  夜ふかしのつらいおじさん

この問題のヒントは、問題76の解答・その15(ペンネ−ム:Toru)さんの補題です。

補題
三角形ABCで角A,角B,角C<120度の時、 AP+BP+CPが最小になるような三角形の内部の点Pは、 角APB=角BPC=角CPA=120度となる点である。

問題1

図1で△A’BP’はBを中心として△ABPを左へ60°回転したものです。
PA+PB+PCが最小となる場合は、A’P’PCが一直線になる場合です。
なぜなら、△PP’Bが正三角形なので PA+PB+PC=A’P’+P’P+PCとなるからです。

(1)Pを簡単にとる方法は、A’とCとを結び∠BA’Cと等しくABを基準として 角をとり直線A’Cとの交点をPとする方法です。

(2)A次の方法は、BからA’Cに垂線BHをおろします。(図2) そして、BHの長さを  とし正三角形を2つ重ねて菱形をかき(図3) その長いほうの対角線の三等分の長さだけHからCに進んだ点をPとする方法です。(図4) なぜなら、正三角形BPP’はBHを  とすると図1より1辺の長さが2となるからです。


図4でXを通る適当な直線XZをかき、等間隔に3つの点を取り XYと平行に等間隔の点を通る直線を引けばXW=1の大きさを得られる。

(3)解答らしい答えは、点Pを△ABCの各辺を1辺とする正三角形の外接円の交点とする方法です。(図5)
正三角形ABJの外接円と正三角形ACHの外接円の交点でAでない方の点をPとします。 四角形JBPAは円に内接するので∠BPA=120°です。 四角形HAPCは円に内接するので∠CPA=120°です。 すると、四角形GCPBの内角CPBも120°になります。 四角形GCPBは向かい合う2つの内角の和が180°になるので円に内接します。
以上から△ABCの各辺を1辺とする正三角形の3つの外接円は1点で交わります。
∠JPBは弧BJにたつ円周角なので60°です。
すると、∠JPB+∠BPC=180°となり、3点J、P、Cは同一直線上にあります。


点Pは三角形ABCの各頂点と結ぶと、360°を3等分しそれぞれの角は120°になります。

問題2
PA+PB+PCの長さの最小値は、点Aを左へ60°回転移動した点A’とCとの距離を求めればよい。 点A’は


よってPA+PB+PCの長さの最小値は


問題3
△ABCの内部の点Pから各辺におろした垂線の足を結んだ△DEFは正三角形にはなりません。
PA+PB+PCの値が最小になる場合は、∠APB=∠BPC=∠CPA=120°のときです。
△PAB、△PBC、△PCAは頂点Pのところの内角は120°なので、他の内角の和は60°です。
図で同じ色の角(○と●)の和は60°です。
△DEFの内角は図のような様子になっています。(頂点に集まる角の色が違う)
だから一般には△DEFの内角はそれぞれ60°にはなりません。
そうなるのはもともとの△ABCが正三角形のときです。


改題の方は簡単です。 例えば、四角形MBPAは∠Aと∠Bの和が180°なので円に内接します。 ∠APB=120°なので∠Mは60°となります。

問題4
正方形の場合、PA+PB+PC+PD(・・・あ)の値が最小になるのは点Pが対角線の交点になる場合です。 点Pが対角線の交点をはずれると、対角線を底辺とする三角形を考えて、(あ)より必ず大きくなります。
    P’A+P’B+P’C+P’D
   =P’A+P’C+P’B+P’D
   >AC+BD
   =PA+PC+PB+PD
   =PA+PB+PC+PD


NO.1706   トリチェリの問題  2008.1.7  水の流れ

一部修正 1.8.20:30

第202回数学的な応募問題


皆さん、パズルでひらめく補助線の幾何学(中村義作著)「講談社」を読んでいたところ、 次のような問題を見つけたので、参考にして問題を作りました。
イタリアの物理学者で、ガリレオ・ガリレイの弟子だったトリチェリ(1608から1647) は幾何学者 としても有名であったことをご存知でしたか。フランスの代数学者フェルマーはトリチェリに 「三角形の各頂点からの和が最小になる点を求めよ」という問題を出したことがあり、 以後これをトリチェリの問題と読ばれています。ここからが、問題です。

三角形ABCがある。この内部に点Pをとって、 点Pと3つの頂点A,B,Cを図のように結びます。 このとき、距離の和PA+PB+PCを最小にする点をPとする。 ただし、三角形ABCが鈍角三角形の場合、鈍角の大きさは120度未満とする。


問題1:点Pをどこにとればよいでしょうか。
ヒント:PA+PB+PCと同じ長さの折れ線を作るように、 頂点Bを中心にして、三角形APBを60度回転させてください。 もちろん、他の解法もあります。

問題2:3つの頂点の座標をA(a,b)、B(0,0)、C(c、0)としたとき、 PA+PB+PCの最小値をa、b、cで表せ。

問題3:点Pから3辺へ垂線を下ろしたときの足を図のように、D、E,Fとしたとき、 垂足三角形DEFが正三角形になるとあるサイトに書いてありました。 その証明が分かりません教えてください。


注) 問題3に関して、△DEF正三角形にならないのではないかと、指摘があり、 私自身も間違っているのではないかと、思い始めました。 詳しくはこちらを見てください。(水の流れ)

さらに、

問題4:1辺の長さが10cmである正方形ABCDがる。 4頂点に至る距離の和が最小になるような経路を図で示してください。 また、その最小値を求めてください。
研究:三角形ABCが鈍角三角形で、鈍角の大きさが120度以上のとき、 PA+PB+PCが最小となる点Pはその鈍角である頂点になります。

注:この記事に関する投稿の掲載は、2008年1月28日以降とします。

NO.1705  算額in宮城(3)  2008.1.7  夜ふかしのつらいおじさん


答えを見つけるだけなら、そんなに難しくありません。
△ABCと△QRCは相似です。
その△QRCと△SRCも相似で、相似の比 p も同じです。
円Oと円Oは相似です。
その円Oと円Oも相似で相似比は上の三角形と同じ p です。
だから 25p2=16 より p=0.8 なので、O2の直径は、25×0.8=20cm
また、r、r、r はこの順に等比数列をなすので、 (r2=r×r

さて、Oの直径が25cmとなるのはどんな場合か調べてみます。
三角形の縦横の長さの比が分かればよいので、図2のように横を1、縦をxとします。
ここで BE=c とすると、DB=cx
DE2=DG2 より


整理して


c>0 に注意して(1)を c について解くと


すると、CE=1-c 、相似比を 0.8 として


整理して


この方程式の解のうち正の実数を求めると
   x= 0.2297766
すると
   BE=c=0.17915272
   BD=cx=0.041165103
   DE=0.183821279

ここで直角三角形に内接する円の半径 r について調べます。
面積を二通りで表してみると(図3)


整理して


(つまり、縦横の和から斜辺を引いたもの)
図2の直角三角形に対しては、
   2r= 0.036497(およその値)
これが25cmになるのだから、実際の横の長さをLとすると
   0.25:L=0.036497:1
   L=6.849964(およその値)
   縦=1.573961(およその値)
実際には次のような感じの直角三角形になります。


NO.1704  算額in宮城(2)   2008.1.7.  teki

図の円O、O、Oは全て正方形と相似になっており、 その面積はO:O=O:O です。
よって、O×O=O×O の関係が成立します。
つまり赤い円の直径は20cmということがわかります。
一般的には直径をr、r、rとすると、
という関係が成立します。

NO.1703  「数学ガール」   2008.1.3.  Junko

本やさんで目にした結城浩著「数学ガール」を読んでいます。 真剣に問いを投げかけてくる後輩の元気少女テトラちゃんと、 エレガントな解法で主人公を打ちのめす才媛ミルカちゃん、 そして高校生の主人公が、様々な数学と出会い、 その秘密を解き明かしていきます。 物語もさることながら、フィボナッチ数列やゼータ関数など、魅力的に語られていきます。 それにしても、テトラちゃんとミルカちゃん、最後はどうなるのかなと気になるところです。

NO.1702   NO.1695は何故?    2008.1.3.  DDT

NO.1695の答えは、AP:PBは黄金比が正解と思いますが、何故なんでしょう? 後知恵の小賢しさでもいいから、なんらかの理由が見つからないものか?と、やってみました。

NO.1697と同様に、ABをベクトルa,ACをベクトルbとし、 a,bを平面の基底にとります。AP=ka,AQ=kb,0<k<1とします。まず基底(a,b)を座標軸とする、 座標空間に移ってみます。
もとのユークリッド空間(平面)における基底は、

   

とおけます。
もとのユークリッド空間における座標値(表現ベクトル)を(x,y)とし、 基底(a,b)に移ったときの座標値を(k,l)とすると、

   

です。問題は面積比なので、(a,b)が数ベクトルとして、 (e1,e2)によって表せる事に注意すると、ヤコビアンにより、

   

と表せる事がわかります。ここで、|det(a,b)|は、(k,l)によらない定数です。 従って、次図のような状態に移っても、△ABCと△PQRの面積比は変わりません。
次図において、(x,y)空間から(k,l)空間に移っても、線分AB,BC,PQなどが直線であり続けるのは、 上記基底変換が、二つの定数基底の間の線形変換であるからです。 従って面積間でも、定数比を保ちます。



ここでRの(k,l)座標ですが、NO.1697より、

   

です((k,l)空間の座標を使って直接計算しても同じです)。 次にPQの中点Sの(k,l)座標は、(k,l)空間で直接計算して明らかに、

   

となります。(k,l)空間にいるので、PQとRSは直交します。 よって、△PQRの面積は、

   

より、

    とする。

を計算できます。ここでは、0<k<1を使っています。 g(k)=log f(k)として、f(k)の最大値を見つけるために、g(k)をkで微分すると、

   

なので、

   

が得られます。この結果と、NO.1697のg'(k)を比較すると実質的に同じであり、 △PQRの面積を最大化する1:kの値は、△ABCの形に由らない事は、これで明らかにはなりますが、 何故黄金比になるかは、やっぱり謎です。
dg/dkの分子において、k2−k−1=0が現れるためには、 例え条件を直角三角形に標準化したとしても、問題文に現れる全ての条件が必要です。 直角三角形に標準化すれば、どれかの条件は外れるのではないか (標準形に条件の一部に解消できるのではないか?)と期待したのですが、駄目でした。 でも理由はあるはずです。皆さんの意見を聞きたいです。駄目でしょうか?



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