Weekend Mathematicsコロキウム室テーマ別/25.特製のサイコロ



コロキウム室(特製のサイコロ)


NO.548 '99 6/27水の流れ特製のサイコロ(1)

第20回数学的な応募問題

太郎さんには、中学校に通っている子供がいます。 先日、学校で数学の授業に、折り紙でサッカーボールを 作ったり、正八面体や正十二面体の模型を厚紙で作ってきました。
そのとき、立方体の展開図を作ってきて、各面に正の整数を書き入れて、 2つのサイコロを作る宿題がありました。 ただし、2個のサイコロを投げたとき、目の和の出方が普通のサイコロと同じようで あるような特製のサイコロということでした。 ここで、普通のサイコロとは当然1から6までの整数が目としてあるものです。 だから、2つのサイコロは同一ある必要はないですし、その目が6以下である必要もない。 また、すべて異なる目である必要もありません。

問題1:普通の2個のサイコロを投げて、目の和の出方を考えてください。

問題2:今、オイラーの業績について、いろいろ研究しています。 このオイラーの偉大なアイディアは、 整数の性質を調べるのにベキ級数を使ったことです。
そのアイディアは、整数aとbとを加えることが累乗 xとxを掛けることに対応することにあります。 そこで、次の整式を展開して係数をみてください。

(x+x+x+x+x+x

問題3:上の事実を利用して、宿題の特製のサイコロの展開図に、正の整数を入れてください。

太郎さんも童心にかえって、いろいろと数字を書いていましたが、なかなかうまくいきません。 皆さんも、考えてください。 



NO.551 '99 6/28Junko特製のサイコロ(2)

問題1
 
10
1011
101112


問題2

 (x+x+x+x+x+x
=(x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x
=(x+x+x+x+x+x)+ (x+x+x+x+x+x)+ (x+x+・・・)+・・・


ここに現れてくる指数は上の表とまったく同じ!になります。

問題3

2つのさいころの和として同じものを期待するならば、 この結果を変えずに(項数6の整式)・(項数6の整式)の別な組み合わせを探せばいいのではないかと考えました。
=(x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x
=x(1+x+x+x+x+x)・ x(1+x+x+x+x+x
=(1+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x

すぐにこのやり方が思い浮かびます。
2つのさいころは指数を読んでいけばいいので、「0,1,2,3,4,5」と「2,3,4,5,6,7」です。
しかしながらこれは片方を減らして片方を増やす、和としては一定。 自明だけれど、おもしろくない、第一0はだめですし・・・。(問題の作成者はその辺をよくわかっていらっしゃる。)
そこで、x+x+x+x+x+x の因数分解を考えました。
項数6(6=2×3の合成数)のこの式は次のように分解できます。
x+x+x+x+x+x =x(1+x+x)(1+x

x+x+x+x+x+x =x(1+x)(1+x+x

どちらも完全な因数分解ではありませんが、x・(項数2)・(項数3)という形に2通りの分解ができるという ところがミソです。 これを組み替えて、(項数6)・(項数6)という形を作ります。
=(x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x
=x(1+x+x)(1+x)・x(1+x)(1+x+x
=x(1+x+x)(1+x)・x(1+x)(1+x+x
=(x+2x+2x+x)・ (x+x+x+x+x+x
=(x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x

というわけで2つのさいころを、「1,2,2,3,3,4」と「1,3,4,5,6,8」とすればいいということがわかります。
和を表にしたものを下に示します。

 
10
10
11
11
1012






NO.556 '99 7/4数楽者特製のサイコロ(3)

特製のサイコロは面の数が偶数の場合に拡張できますね。 8面体の場合は解が複数あります。



NO.563 '99 7/8Junko特製のサイコロ(4)

正8面体のサイコロについて、特製サイコロを具体的に作ってみようと思います。

NO.551でやったのと同じように、
x+x+x+x +x+x+x+x の因数分解を考えます。

x+x+x+x +x+x+x+x =x(1+x)(1+x)(1+x
と因数分解できますので、x・(項数2)・(項数4)という変形が3通り考えられます。

x+x+x+x +x+x+x+x =x(1+x+x+x)(1+x)・・・(1)
=x(1+x+x+x)(1+x)・・・(2)
=x(1+x+x+x)(1+x)・・・(3)


これを組み替えて、(項数8)・(項数8)という形を=3通り作れると思います。
(1)、(2)の組み合わせで特製サイコロを作ってみます。
=(x+x+x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x+x+x
=x(1+x+x+x)(1+x)・ x(1+x+x+x)(1+x)
=x(1+x+x+x)(1+x)・ x(1+x+x+x)(1+x
=(x+2x+2x+2x+x)・ (x+x+2x+2x+x+x11
=(x+x+x+x+x+x+x+x)・ (x+x+x+x+x+x+x+x11

というわけで2つのさいころを、「1,2,2,3,3,4,4,5」と「1,3,5,5,7,7,9,11」とすればいいということがわかります。
和を表にしたものを下に示します。 右に、普通の正8面体サイコロの表を並べておきます。

  11
1012
1113
1113
1010 1214
1010 1214
1111 1315
1111 1315
10 101212 1416
 
 
10
1011
10 1112
1011 1213
101112 1314
10 111213 1415
1011 121314 1516






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