Weekend Mathematics問題/問題45



45.CDの問題

あるレコード店(CD店?)の話。
古くなったロックのCDのバーゲンをやっています。 30枚は2枚1組で1ドル、もう30枚が3枚1組で1ドルという破格のお値段です。 もちろん、最初の1日で60枚完売です。
30枚の2枚1組1ドルのCDは、売り上げが15ドル、30枚の3枚1組1ドルのCDは、売り上げが10ドル。 しめて25ドルの売り上げです。
次の日も、マネージャーは60枚のレコードをお店に並べました。
店員「値段が2種類あるなんて面倒だな、30枚が2枚1組1ドル、30枚が3枚1組1ドルなんだから、 5枚1組2ドルにして、60枚全部一緒に並べちゃおうか、どうせ同じこったから」
閉店までに、やはり60枚全部売り切れました。 しかし、売り上げ金を計算していたマネージャー氏、あっと驚きの声をあげました。 なんと25ドルではなくて、24ドルしか売り上げがないじゃないですか!
どうして1ドル消えてしまったのでしょう? お客さんへのおつりをどこかで間違えたのでしょうか?

1ドル消えてしまった理由を考えてください。





問題の出典


aha!Gotcha ゆかいなパラドックス1

マーチン・ガードナー編 竹内郁雄訳

日経サイエンス社




答えと解説












答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:海東のおとめ)

2枚1組で1ドルのCDをA、3枚1組で1ドルのCDをBとする。
最初はAのCDは全部で15組売ることが出来て、売上金が15ドル。BのCDは同様に10ドル。 あわせて25ドル。
 次の売り方ではAを1組、Bを1組ずつ、5枚1組で売るとすれば、Bは10組しかないから5枚1組のCDは10組しか できないはず。(2ドル×10=20ドル)
そうするとAが5組(10枚)残るので、最初の売り方なら5ドルの売上金になる(1ドル×5=5ドル)が、 5枚2ドルで売ってしまったため(2ドル×2=4ドル)1ドル損をしてしまった。



解答・その2

(ペンネ−ム:長距離ランナーたけぼう)

30枚2枚1組で1ドルとしたら、1枚あたり1/2ドル。
30枚3枚1組で1ドルとしたら、1枚あたり1/3ドル。
だからそれぞれ1枚ずつで2枚5/6ドル。
よって1枚あたり、5/12ドル。だから5枚あたり25/12ドル。
しかし店員は、60枚を5枚1組2ドルで売ったということで、 この時の1枚あたりの値段は2/5ドル。
これが60枚だと、 60×2/5=24ドル。
最初の売り方だと、60×5/12=25ドル。
よって25−24=1で1ドルの差が出来てしまう。



解答・その3

(ペンネ−ム:mhayashi)

まず、最初の日のCD1枚当たりの値段を算出する。

30枚を2枚1組で1ドルで売る場合、1枚当たりの値段は1/2ドル
30枚を3枚1組で1ドルで売る場合、1枚当たりの値段は1/3ドル
よって最初の日のCD1枚当たりの値段は (1/2+1/3)/2=5/12 より5/12ドル
(ゆえに売り上げは 60×(5/12)=25 より25ドルとなった。)

次に、明くる日のCD1枚当たりの値段を算出する。
60枚を5枚1組で2ドルで売る場合、1枚当たりの値段は2/5ドル
(ゆえに売り上げは 60×(2/5)=24 より24ドルとなった。)

以上より、CD1枚当たりの平均的な値段を見ると、5/12>2/5 より、 最初の日より次の日のほうが安く設定してしまっていることが分かる。
P.S.売り上げの差は2枚組と3枚組のセット数の違いから生じます。



解答・その4

(ペンネ−ム:しばた)

CD1枚あたりいくらになるかを比較すると…
前者は、2枚1組1ドルのCDは1枚1/2ドルになり 3枚1組1ドルのCDは1枚1/3ドルで、 それらをあわせると、2枚で5/6ドルになり、 1枚あたり5/12ドルになる。
後者は、5枚1組2ドルなので、 1枚あたり2/5ドルになる。
すると、1枚あたりの差は 5/12-2/5=1/60ドルとなり、 60枚で1ドルの差が生じる。



解答・その5

(ペンネ−ム:水の流れ)

店員は1ドル当たりの相加平均を考えて、売ってしまったため、 こんな現象になってしまいました。調和平均で売っておけば良かったのです。

 では、分かり易くお話をします。 皆さんは、距離=速さ×時間 の関係をご存知でしょう。
ここで、距離がCDの枚数で30枚 、速さをCD1ドル当たりの枚数 、 時間を売上金額とします。
誤ってしまった店員は1ドル当たりの枚数を2枚と3枚で 平均をとって、2ドルで5枚から、5/2枚で売ったから、 売上金額は60÷(5/2)=24 ドル にしかならないのです。
もしも、25ドルの金額を得たいのなら、
1ドルあたり、2枚と3枚の調和平均 1÷[{(1/2)+(1/3)}÷2]= 12/5 で売れば良かったのです。
このとき、売上金額は60÷(12/5)=25ドルになります。
現実には、12枚5ドルで売れば良かったのです。
 ちなみに、正の数 a,b に対して
相加平均は (a+b)÷2=(a+b)/2
調和平均は 1÷[{(1/a)+(1/b)}÷2]=2ab/(a+b) です。




解答・その6

(ペンネ−ム:ねこ)

2枚1組で1ドルのCDを種類A、3枚1組で1ドルのCDを種類Bとします。
5枚1組で2ドルという値段は、A:B=2:3という比の組み合わせで成り立つも のです。
(A20枚、B30枚)まではよいのですが、残りのA10枚は、本来は

2枚1組1ドル→10枚で5ドル

で売れる物であるにもかかわらず

5枚1組2ドル→10枚で4ドル

で売ってしまうことになります。そのため1ドル売上が少なくなってしまいます。
実際にこんな売り方をする人っているんでしょうか・・・・・・



解答・その7

(ペンネ−ム:マスター )

30枚が2枚1組1ドル 30枚が3枚1組1ドルのとき全部売ると前者は15組  後者は10組売ったことになる。 この時点でレコード店は2枚1組1ドルで売ったほうが得。 しかし、60枚が5枚1組1ドルにすると、前者が12組   後者が12組売ったことになり,得である2枚1組1ドルが3組減っている。 そこから1ドルの差がでてきた。



解答・その8

(ペンネ−ム:P.Nハーヴィンジャー)

5枚1組2ドルの商品は、合計12組ある。その1つの商品の中に3枚1ドル のCDを3枚ずつ入れると、10組の商品にしか入らないことになる。その10 組の商品は、その店員の思惑通り5枚で2ドル相当の商品となり、損することな く販売できる。しかし、残りの2組の商品を構成するには、3枚1ドルのCDが もう無いので、2枚1ドルのCDだけを使うことになる。1組に2枚で1ドルの CDが5枚入り、2.5ドル相当の商品になるが、店員がすべて5枚1組2ドル で販売してしまったので、1組で0.5ドル、2組あるので計1ドルの損をした ことになる。だから、25ドルのはずが24ドルしかなかったのです。



解答・その9

(ペンネ−ム:かつ)

ここで考えることは1日目と2日目を比較してみることが必要です。
1日目は、30枚づつでわけるので2枚1組が15組、3枚1組が10組できます。
2日目は5枚1組12組できます。よっておつりを間違ったわけでは、ないのです。

ここで1日目の分け方で5枚1組をつくってみると・・・

 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚        5枚1組が10組できる
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚  3枚 →5枚
 2枚
 2枚
 2枚→5ドル            この10枚で2組できる!4ドル
 2枚
 2枚

 ここで1ドルの差が出る。

ついでにいうと、60枚を全部2枚1組にすると・・・30ドル
60枚を全部3枚1組にすると・・・20ドル
よって2枚1組を多くすることが値段を高くすることができます。
ちなみに5枚1組を2枚と3枚に分けると
2枚1組に使う枚数は、24枚。
3枚1組に使う枚数は、36枚。
つまり1日目に2枚1組に使う枚数と比べると、 1日目のほうが多く使っているので値段の差が出るわけです。



解答・その10

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん )

2枚組1ドルで売るべきCD5組分を5枚組2ドルで2組売ってしまったためです。
◎:2枚組1ドルのCD、 ○:3枚組1ドルのCDとすると、

・ちゃんと商売をしていたとき、

◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎
+1+1+1+1=5

◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎|◎  ◎
+1+1+1+1 +1+1+1+1+1 =10

○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○
+1+1+1+1 +1+1+1+1+1 =10
合計 25

・楽をしようとしたとき、

◎ ◎  ◎  ◎  ◎|◎  ◎  ◎  ◎  ◎
+2=4

◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎|◎ ◎
○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○|○○○
+2+2+2+2 +2+2+2+2+2=20
合計 24

店員が売るCDをよく確かめなかったのが失敗の原因です。



解答・その11

(ペンネ−ム:柿本 浩)

2枚で1ドルのCD:A   3枚で1ドルのCD:B として
A・B共に30枚なのでそれぞれを単独で売るならば
A:30÷2=15組 ⇔ 15ドル
B:30÷3=10組 ⇔ 10ドル で合計25ドルの売上となる

ところがこれをA2枚+B3枚の5枚一組で売る事を考えると 10組売った時点で
A:2×10=20枚
B:3×10=30枚 で、BのCDは無くなってしまう
残ったAのCD10枚を、前日は2枚1ドルで売っていたため 5ドルの売上となったが、5枚2ドルで売ってしまったため 4ドルの売上としかならなかった訳である。

  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB
  AABBB …ここまでは2ドルでもOK

  AAAAA …この2組は2ドル50セントで売らないと
  AAAAA  割に合わない!

まぁ何ですね、自分の扱っている商品の価値、商法の問題点に気づかずに 闇雲に売上だけ出そうとするのは、低次元の訪問販売みたいなものでしょうか ふとん乾燥機とか(笑)



解答・その12

(ペンネ−ム:やなせ)

最初の設定
A組 30枚÷2枚=15組
B組 30枚÷3枚=10組
合計25組で、それぞれが1組1ドルなので 売り上げは25ドルになります。

めんどくさがりの店員の設定
A組+B組 60枚÷5枚=12組
1組2ドルなので 12組×2ドル=24ドル
つまり、店員の設定では 値段の違った各30枚を平均2.5枚で1組=1ドルとして売るようになりま す。
A組 30枚÷2.5=12組
B組 30枚÷2.5=12組
合計で24組になります
1組=1ドルなので やっぱり24ドル
こんなんでどうでっしゃろか



解答・その13

(ペンネ−ム:中数の基本)

5枚1組なので12組を各2ドルで売ったのだから24ドルで間違いはありません.
 しかし、問題:「1ドル消えてしまった理由を考えてください。 」に答えるために は、店員の思い違いの原因を指摘する必要があります.

<組数の相違による説明>
 店員は15組の1ドルと10組の1ドルを「足せば」??組の2ドルになると想定 したはずですが、組の数が違うため「10組の2ドル」に「5組の1ドル」が余りま す.ところが、5組の1ドルは5ドルにならず、再編成されてて2組の2ドルとなり 1ドル減ります.
組数が同じだったらこの相違は生じなかったはずです.だから、組数が違うのにセッ トにできると考えたのが間違いの心理的原因です.

<平均単価よる説明>
 平均単価で説明すると、本来は1枚当たり(30×1/2+30×1/3)/60=5/12ドルで売る予定 のところを、1枚当たり2/5ドルで売っているところがみそです.  単価が変わっているのが原因です.

《感想》
 この問題の「答」はいろんな言い回しが可能なようです.  (分数の概念がないと、まんまとかかるかも?)



 

正解者

水の流れ中数の基本ねこ
mhayashiマスター夜ふかしのつらいおじさん
浜田 明巳いただきます海東のおとめ
しばた柿本 浩やなせ
もんさん長距離ランナーたけぼうsaori
かつP.Nハーヴィンジャー





まとめ

最初この問題を見たときに、一瞬でもええっーって驚いてもらえたでしょうか?

私が思うには、2種類のCDの価値が実は微妙に違うということ (著しく価値の違うものだったら、いくら何でもこんなおおざっぱな売り方はしないでしょう・・・)、 かつ売った枚数が1日めと2日めで違うということでしょうか?
それぞれの方がそれぞれの表現で説明してくださいました。 ありがたいことに、私がかくことはもうなさそうです。






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