Colloquium

NO.207
Weekend Mathematicsコロキウム室/NO.207

NO.1603  特製正n面体サイコロ  2006.7.9.  水の流れ

第175回数学的な応募問題

皆さん、一般に普通のサイコロは正6面体で、目は自然数の1から6が書いてあります。 ここで、2個のサイコロを投げたとき、目の和の出方が普通のサイコロと同じようであるような特製のサイコロを考えます。 だから、2つのサイコロは同一ある必要はないですし、その目が6以下である必要もない。また、すべて異なる目である必要もありません。 このような問題をNO.548 特製のサイコロ(1)として出題しました。 これの拡張問題です。

問1:正4面体のサイコロを2個投げたとき、目の和の出方が普通のサイコロと同じようであるような特製のサイコロの目を考えてください。

問2:正八面体のサイコロを2個投げたとき、目の和の出方が普通のサイコロと同じようであるような特製のサイコロの目を考えてください。

問3:正十二面体のサイコロを2個投げたとき、目の和の出方が普通のサイコロと同じようであるような特製のサイコロの目を考えてください。

問4:正二十面体のサイコロを2個投げたとき、目の和の出方が普通のサイコロと同じようであるような特製のサイコロの目を考えてください。

<コメント:問1は1組、問2は3組、問3は未解決、問4は未解決です。教えてくだされば幸いです。>

注:この記事に関する投稿の掲載は、7月31日以降とします。

NO.1602  平方数の和と差(7)   2006.7.8.  まこぴ〜

副題:Vの決定からUの決定

Nを自然集の集合、Zを整数の集合とします。
前稿に引き続き

   

   

   a,b∈Zのとき  [a,b]={x|x∈Z、a≦x≦b}

   V’=[0,S−V

とします。

加法「+」、乗法「・」が定義できる集合Aがあり、b∈A、B⊂Aにたいして、

   B+b={x+b|x∈B}
   B−b={x−b|x∈B}
   bB={b・x|x∈B}

とおきます。特に−B=(−1)Bとします。
前稿で示した予想「n≧9であれば、どうやら#V’n= 62 となる「らしい」。」を考えてみたい。

V’を計算する様子をエラトステネスの篩の要領で示してみます。
まず、数表を用意します。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829


を消します。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829


を消します。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829


を消します。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829


を消します。S=30ですので、表を30まで追加しましょう。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829
30


を消します。S=55ですので、表を55まで追加しましょう。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829
30313233343536373839
40414243444546474849
505152535455


この要領で続けていき、V11まで消すと、次のようになります(S11=506)。
0123456789
10111213141516171819
20212223242526272829
30313233343536373839
40414243444546474849
50515253545556575859
60616263646566676869
70717273747576777879
80818283848586878889
90919293949596979899
100101102103104105106107108109
110111112113114115116117118119
120121122123124125126127128129
130131132133134135136137138139
140141142143144145146147148149
中略
350351352353354355356357358359
360361362363364365366367368369
370371372373374375376377378379
380381382383384385386387388389
390391392393394395396397398399
400401402403404405406407408409
410411412413414415416417418419
420421422423424425426427428429
430431432433434435436437438439
440441442443444445446447448449
450451452453454455456457458459
460461462463464465466467468469
470471472473474475476477478479
480481482483484485486487488489
490491492493494495496497498499
500501502503504505506


「中略」の部分はすべて消える部分です。

途中を省略しましたが、前述の

  P∈V’ ならば  S−P∈V’

をn≦11の場合に確認できると思います。
また、n=11の表から前半部分を抜き出すと、

  X={2, 3, 6, 7, 8, 11, 12, 15, 18, 19, 22, 23, 24, 27, 28, 31, 32, 33, 43, 44, 47, 48, 60, 67, 72, 76, 92, 96, 108, 112, 128}

となります。

そこで、表の中で横線を引いた部分がVの元であることに注意すると

  5. n≧9のとき、[129,S−129]⊂V

(証明)
(1) 9≦n≦10のときは、上の数表から直接従う。
(2) n≧11のとき、

  [129,Sn−1−129]⊂Vn−1

と仮定します。V=Vn−1∪(Vn−1+n)であるので、

  [129,Sn−1−129]∪[129+n,S−129]⊂V

となるが、

   6((Sn−1−129)−(129+n))
  =(2n−9n+n−1584)+36
  =(n−11)(2n+13n+144)+36
で、最後の式の2次式の判別式が負であることを考慮すると、n≧11ならば

  129<129+n<Sn−1−129<S−129

であることから、

   [129,S−129]=[129,Sn−1−129]∪[129+n,S−129]⊂V

よって、数学的帰納法により、主張が正しいことが示された。(証明終わり)

次にXとV’の包含関係について、次が成り立ちます。

  6. n≧7 ならば X⊂V’

(証明)
(1) 7≦n≦11のときは、上の数表から直接従う。
(2) n≧12のとき、

  V=Vn−1∪(Vn−1+n

で、x∈V−Vn−1とすると、x≧n≧144>128なので
−Vn−1の元は128より大である。(証明終わり)

以上のことから、V’、V、Uを次のように決定できる。

  7. すべてのn∈Nについて、

    V’=[0,S∩(X∪(−X+S))

    V=[0,S−(X∪(−X+S))

    U=2V−S

      =(2[0,S−S)−(2X−S)∪(−(2X−S))

   となる。

これをもとにn=4のときを計算してみる。
   S=30
   [0,S={0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30}
   X={2,3,6,7,8,11,12,15,18,19,22,23,24,27,28,31,32,33,43,44,47,48,60,67,72,76,92,96,108,112,128}
   2X−S={-26,-24,-18,-16,-14,-8,-6,0,6,8,14,16,18,24,26,32,34,36,56,58,64,66,90,104,114,122,154,162,186,194,226}
   V’=[0,S∩(X∪(−X+S
      ={2,3,6,7,8,11,12,15,18,19,22,23,24,27,28}
   V=[0,S−(X∪(−X+S))
     ={0,1,4,5,9,10,13,14,16,17,20,21,25,26,29,30}
   U={-30,-28,-22,-20,-12,-10,-4,-2,2,4,10,12,20,22,28,30}

注目すべきは、SとXですべての計算ができることである。

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