Weekend Mathematics問題/問題63



63.続・どちらが大きい?

5099と99!ではどちらが大きいでしょうか?

注)99!について








問題の出典


数学のひろば

ドミトリ・フォミーン、セルゲイ・ゲンキン、イリヤ・イテンベルク著
志賀浩二、田中紀子訳
岩波書店






答えと解説





答えと解説

解答・その1

(ペンネ−ム:やなせ)

99!より55の99乗の方がかなりでかい

其処までのかてい まず、エクセルを立ち上げます(もうこれで、あきれたかな?) 適当なセルに=FACT(99)と入力してEnter すると 9.3326E+155とでます。
次に違うセルに=5099と入力してEnter これまた 1.5777E+168 と出てきました。
これはもう明らかに桁数が違うので歴然ですね。(爆笑) 念のために、セルの書式を数値に設定すると凄いことになってしまいました。
いやぁ〜他の皆さんみたいに、きちんと出来ませんが 最近は便利な物があるのでとにかく答えだけは出ますね。



解答・その2

(ペンネ−ム:スモークマン)

99!=(50+49)(50+48)・・・(50-48)(50-49)
=(502-492)(502-482)・・ (502-12)50
=5099-5097(12+22+・・・+492) +5095(12*22+・・・+482*492) -5091(12*22*32*+・・・+472*482*492
   +・・・-50*12*22*・・・*492

第2項と第3項比べると、第2項の方が大きい。 つまり、第2n項-第2n+1項>0だから、一番最後の第49項もマイナスだから、結 局、99!=5099-Xとなり、Xはプラスの項なので、99!<5099となる。



解答・その3

(ペンネ−ム:QPer)

底50(>1) の対数をとる。ここでは底は省略します。

log5099=99

log99!=log99+log98+…+log1
=log99*1+log98*2+…+log51*49+log50

ここで和が100になる2つの数 x(>0), 100-x(>0) で相加相乗平均の関係より

x+(100-x)≧2√x(100-x)
x(100-x)≦502
等号成立がx=50のときであることに注意すれば

log99!<log502+log502+…+log502+log50
=2+2+…+2+1
=2*49+1
=99

よって、log5099>log99!
底50>1だから   5099>99!



解答・その4

(ペンネ−ム:スチューデント)

99!
99・98・97・・・51・50・49・・・3・2・1
{(99・1)…@}×{(98・2)…A}×{(97・3)…B}×・・・{51・49…49項目}・50

5099
(50・50)・(50・50)・(50・50)・・・(50・50)
(50・50…@’)・(50・50…A’)・(50・50…B’)・・・(50・50…49項目’)・50

@と@’、AとA’、BとB’、・・・49項目と49項目’をそれぞれ比較すると、

 99・1<50
 98・2<50
 97・3<50
     ・
     ・
 51・49<50

また、50項目は

 50=50

各項は全て+であるので、5099の方が大きい。



解答・その5

(ペンネ−ム:こざっぱ)

99!= 99*98*97*96*・・・・4*3*2*1                                  
= 50*(51*49)*(52*48)*(53*47)*・・・・(96*4)*(97*3)*(98*2)*(99*1) <- 50をはさんで左右の数字が組になるように並び替えた
= 50{(50+1)(50-1)}{(50+2)(50-2)}{(50+3)(50-3)}・・・・{(50+48)(50-48)}{(50+49)(50-49)} <-各数字を50と数値の加減算で表現できるようにした
= 50{502-12}{502-22}{502-32}{502-42}・・・・}{502-482}{502-492} <- (X+C)(X-C)=X2-C2を利用して式を変形


ここまでの変形で、99!は、
50が1個と、(502-k2)が49個の乗算で表現できた。(kは1〜49が順番に出現) ・・・・@

一方、5099は、

5099= 50*(50*50)(50*50)(50*50)*・・・・(50*50)(50*50)

となり、50が1個と、502が49個の乗算と考えられる。              ・・・・A

@とAを比較する。 いずれも50個の数字の乗算で、そのうち1個は50で同じだが、それ以外の他の49個の数字はすべて k2の分だけ99!の方が少ない。(kは1〜49) かける数字の個数が同じで、その数字が1個(50)を除き、すべて小さいのだから 5099 > 99!となります。

Ans 5099の方が大きい。



解答・その6

(ペンネ−ム:とし)

5099が大きい。

(100−N)N=−(N−50)+50

ですから
1x99<50
2x98<50
   ・
   ・
49x51<50 
  50=50
  



解答・その7

(ペンネ−ム:kiyo)

2*99<50*50
3*98<50*50
.....................................
48*51<50*50
49*50<50*50
であるから、
99!<(50*50)49=5098<5099
5099の方が大きい。



解答・その8

(ペンネ−ム:Nと〜)

5099>99!

99!=99・98・97・・・・・52・51・50・49・48・・・・・3・2・1
=(99・1)・(98・2)・(97・3)・・・・・(52・48)・(51・49)・50

99・1<50・50
98・2<50・50
97・3<50・50
・・・・・・
52・48<50・50
51・49<50・50
50=50

両辺ともすべて正で、左辺をすべてかけると 99!
右辺をすべてかけると 5099
以上より、【5099>99!】




解答・その9

(ペンネ−ム:柿本 浩)

99!=1×2×・・・×49×50×51×・・・×98×99
=(50−49)×(50−48)×・・・×(50−1)×50×(50+ 1)×・・・×(50+48)×(50+49)

乗算の順序を並べ替えれば

99!=50×{(50−1)×(50+1)}×{(50−2)×(50+2)}
   ×・・・{(50−48)×(50+48)}×{(50−49)×(50+49)} :式1

(50−1)×(50+1)=50−1
(50−2)×(50+2)=50−2
   ・
   ・
   ・
(50−48)×(50+48)=50−48
(50−49)×(50+49)=50−49

であり、式1の{ }で括られた中の積は、全て50より小さい事が分かる。

50より小さい自然数を49個乗算した積よりも 50を49個乗算した積、すなわち5098の方が大きい事は明白であり

(50−1)×(50−2)×・・・×(50−48)× (50−49)<5098 両辺に50をかけて

50×(50−1)×(50−2)×・・・×(50−48) ×(50−49)<50×5098

        ↓

50×(50−1)×(50+1)×(50−2)×(50+2)×・・・(50− 48)×(50+48)×(50−49)×(50+49)<5099

  ∴99!<5099



解答・その10

(ペンネ−ム:モルモット大臣)

題意より99!/5099を求めてこれが1より大きいかどうかで大小の判定をします。

  99!/5099=(99×98×97 ×・・・3×2×1)/(50×50 ×・・・50×50)

分子分母ともそれぞれ99項です。(項というのは何か変ですがお許しを)
さらにこの式を変形して

  99!/5099=99/50×98/50×・・52/50×51/50×50/50×49/50×48/50・・2/50×1/50

全部で99項
ここで50/50の左右の49項ずつをよく見てみると

  ・・52/50×51/50×50/50×49/50×48/50・・であり(50±1,2,3・・49)/50

の関係となっている。そこでこの ±の後の数字が等しい項の積を考える。よって

  99!/5099=50/50×(502-12)/502 ×(502-22)/502 ×(502-32)/502 ・・・・(502-482)/502 ×(502-492)/502 
    (全部で49+1項)

ここでそれぞれの項は (502-N2)/502 (Nは1〜49までの整数)であり
(502-N2)/502 =1-(N/50)2<1であるため、
99!/5099=1×[1-(1/50)2]×[1-(2/50)2]×[1-(3/50)2]・・[1-(48/50)2]×[1- (49/50)2]の積は全て1以下の49項の積となるから1以下である。
したがって 99!/5099<1だから 99!<5099となり証明終わり。



解答・その11

(ペンネ−ム:teki)

答え  5099>99!

<解法>
「ガウスの足し算」ならぬ「ガウスのかけ算」で考えました。
つまり、

99!=(1×99)×(2×98)×・・・・・×(49×51)×50
5099=(50×50)×(50×50)×・・・・・×(50×50)×50


それぞれのかっこ内は、5099の方が大きいので、結果も5099>99! となります。
(この考え方は、周囲の長さが一定の長方形の面積の大きさ の比較と共通するところがあります。すなわち、正方形に近い長方形の方 が面積が大きくなるのと同じ考え方です。)



解答・その12

(ペンネ−ム:高橋 道広)

答え5099の方が大きい

今回の問題は前回と同じようにときました。(どこが同じかは不明)



よって5099の方が大きい



解答・その13

(ペンネ−ム:BossF)



ところが、1≦k≦49で
(50-k)/50・(50+k)/50=(502-k2)/502<1
だから
99!/5099<1 i.e. 99!<5099
ぱっと見た時の予想と逆になってビックリしました。



解答・その14

(ペンネ−ム:Wasmath)

さて,問題63ですが,一般化して

nが2以上の自然数のとき n2n-1>(2n-1) !

であることを示します。
k=1,2,3,・・・,n-1 に対して
n2-k(2n-k) = n2-2kn+k2=(n-k)2 >0 より
n2 > k(2n-k)
ですから, すべてかけあわせて

  

∴ n2n-1>(2n-1) !




解答・その15

(ペンネ−ム:夜ふかしのつらいおじさん)

解答1
1から99までの自然数について相加平均と相乗平均の関係を用いると、



両辺を99乗して、

  5099>1×2×・・・×99

よって、5099>99!

解答2

99!=99×98×・・・×51×50×49×・・・×2×1
=(99×1)×(98×2)×・・・×(51×49)×50
=(50+49)×(50−49)×(50+48)×(50−48)×・・・×(50+1)×(50−1)×50
=(50ー49)×(50ー48)×・・・×(50ー1)×50
<50×50×・・・×50×50
=5099

よって、5099>99!

解答3

log105099=99log10(5×10)
=99(log105+log1010)
≒99(0.699+1)
=99×1.699
=168.201

従って、5099は169桁の数

log10(99!)=log10(1×2×・・・×99)
=log101+log102+・・・+log1099

右図より、赤い長方形とグラフより


黒い長方形とグラフより



従って、99!は156桁から158桁の数
よって、5099>99!




解答・その16

(ペンネ−ム:Junbou)







解答・その17

(ペンネ−ム:yokodon)

計算機でやればアッという間ですが、それではナンなので、数学の問題らしい議論 をしてみたいと思います。ただ、以下を既知にしたいと思います。なお、 log(x) は 常用対数を、ln(x) は自然対数を表すことにします。
log1.25 ≒ 0.097 および e > 2.5

y = ln(x) のグラフを考えると、以下の不等式を容易に示すことが出来ます。



この両辺を ln10 で割ると、以下のようになります。

200 - 99・log(e) ≧ log(99!) ・・・[1]

さて、log(5099) = 198 - 99・log2 ですから、

(198 - 99・log2) - (200 - 99・log(e))
99・log(e/2) - 2
99・log(2.5/2) - 2
99・0.095 - 2
7.405 > 0 ・・・[2]

従って、[1][2] から log(5099) > log(99!) なので 5099 > 99! …(答)

因みに、計算機でやってみると、

  log(5099) ≒ 168.198...
  log(99!) ≒ 155.970...

なので、直ちに言えます。

#対数の値を前提にしない上手い回答を、誰かきっとしているんだろうなぁ。
##対数を使わない議論も、誰かしていそうだなぁ。




解答・その18

(ペンネ−ム:月の光)

[割る方法]



よって99!<5099

[スターリングの公式]
99!≒(99/e)99<5099です。
n!≒(n/e)nがスターリングの公式から分かります。(nが大きいとき)



正解者

kiyoteki高橋 道広
モルモット大臣スチューデントこざっぱ
夜ふかしのつらいおじさんとしJunbou
WasmathBossFやなせ
yokodonQPerスモークマン
Nと〜柿本 浩月の光





まとめ

やなせさんから解答をいただき、さっそく私もExcelでやってみました。 いやあ、すごい。こんなに桁数の大きい計算をやってくれるとは思ってもみませんでした。 私はこの問題、検証はできないだろうと思っていましたが、できますね。

今回寄せられた解答は、tekiさんのネーミングによる「ガウスのかけ算」風変形を用いた解答と、 桁数で比較する解法に大きく分けられるかなと思います。
私自身は、前者のパターンで「相加・相乗平均」の関係を思い浮かべました。

    「相加・相乗平均」の関係

a,b>0であるとき、次の不等式が成り立つ。

      

ただし、等号が成立するのは、a=bの時に限る。

つまり、

99!=(1×99)×(2×98)×・・・・・×(49×51)×50
5099=(50×50)×(50×50)×・・・・・×(50×50)×50


において、「相加・相乗平均」の関係を用いると



つまり、tekiさん流に言うと、一定の長さのひもで長方形を作るとき、その面積が 最大になるのは正方形の場合であるということです。
ですから、後者5099の方が大きいというわけです。

厳密に言えば、99個の正数に対する「相加・相乗平均」の関係を 証明しなければならないとは思いますが、 夜ふかしのつらいおじさん の解答1もおみごとですね。

さて、この問題に関連して、
Wasmathさん(NO.1183 続々・どちらが大きい?)
yokodonさん(NO.1184 桁数は?)から発展的な問題をいただきました。
コロキウム室の方に載せておきました。 これについての投稿もお待ちしています。







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