Weekend Mathematicsコロキウム室テーマ別 /11.大相撲本場所



コロキウム室(大相撲本場所)


NO.199     11/11   水の流れ     大相撲本場所(1)

今、旬なものは 大相撲九州場所ですね。
「偉大な横綱は連敗しないのが、優勝の条件のようです。 そこで、15日間(2)連敗しない、勝ち負けの勝敗の起こり方は 何通りでしょう?また、一般の場合はどうなるでしょう?」



NO.201     11/14    Junko     大相撲本場所(2)

15試合中、2連敗(以上)しない場合の数を負け数で分類してみました。

重複組み合わせnrを使います。 詳しくは、こちら

  1. 0敗
    全勝するということで、1通り

  2. 1敗
    ↓×↓
    この↓のところに、14個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    214=1514=151=15

  3. 2敗
    2つの×の間に、最低1個の○をおきます。
    ×○×
    ↓×○↓×↓
    「○↓」は、「↓○」でもかまいません。
    この3つの↓のところに、12個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    312=1412=142=91

  4. 3敗
    3つの×の間に、最低1個の○をおきます。
    ×○×○×
    ↓×○↓×○↓×↓
    「○↓」は、「↓○」でもかまいません。
    この4つの↓のところに、10個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    410=1310=133=286

  5. 4敗
    4つの×の間に、最低1個の○をおきます。
    ×○×○×○×
    ↓×○↓×○↓×○↓×↓
    「○↓」は、「↓○」でもかまいません。
    この5つの↓のところに、8個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    58=128=124=495

  6. 5敗
    5つの×の間に、最低1個の○をおきます。
    ×○×○×○×○×
    ↓×○↓×○↓×○↓×○↓×↓
    「○↓」は、「↓○」でもかまいません。
    この6つの↓のところに、6個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    66=116=115=462

  7. 6敗
    6つの×の間に、最低1個の○をおきます。
    ×○×○×○×○×○×
    ↓×○↓×○↓×○↓×○↓×○↓×↓
    「○↓」は、「↓○」でもかまいません。
    この7つの↓のところに、4個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    74=104=106=210

  8. 7敗
    7つの×の間に、最低1個の○をおきます。
    ×○×○×○×○×○×○×
    ↓×○↓×○↓×○↓×○↓×○↓×○↓×↓
    「○↓」は、「↓○」でもかまいません。
    この8つの↓のところに、2個の○を重複を許して(0でもよい)おくことになります。
    82=92=97=36

  9. 8敗
    ×○×○×○×○×○×○×○×の1通り
以上のことから、
 1+214+312+410+58+66+74+82+1

=1+1514+1412+1310+128+116+104+92+1

=1+151+142+133+124+115+106+97+1

=1+15+91+286+495+462+210+36+1

=1597


これを一般化するとどうなるか?
N試合中、2連敗(以上)しない場合の数を求めることになります。
上の例にならって、想像すると、
N+10+N1+N-12+N-23+・・・
となるのでしょうか?
これをまとめることはできるのでしょうか?



NO.203     11/16     水の流れ    大相撲本場所(3)

Junkoさんは○を間に入れておられましたが、 組み合わせのCに持ち込むこともできます。
すなわち、×(負けの数)で場合分けします。 (でも、同じ考えですが)
×をk個(k≧0)のとき、○(15−k)個です。
ただし、k≧9のときは、明らかに不適。

  1. k=0のとき、○のみで1通り
  2. k>0のとき、×の起こりうる日は○両端及び間の
        15−k+1=16−k
       よって、×の起こる日は16-kk(k=1,2,3,・・・,8)
したがって、その総数は
 1+151142133124+・・・+9788
=1597
となります。



NO.207     11/19     水の流れ    大相撲本場所(4)

大相撲の問題と2×nの長方形は同じ結果なのです。初項違いで。



NO.208     11/21     Junko    大相撲本場所(5)

これもフィボナッチ数列なのですか? ええ−っ、驚き! 
検証してみます。 N試合するとして、連敗(2連敗以上)しない、勝ち負けの勝敗の起こり方が f(N)通りとします。
NO.201で確かめた結果から、 f(15)=1597とかけるわけですよね。

N=1から順に確かめてみます。

  • N=1
    「○」か「×」の2通り。f(1)=2
  • N=2
    「○○」「○×」「×○」の3通り。f(2)=3
  • N=3
    「○○○」「○○×」「○×○」「×○○」「×○×」の5通り。f(3)=5
  • N=4
    「○○○○」「○○○×」「○○×○」「○×○○」
    「×○○○」「×○×○」「×○○×」「○×○×」の8通り。f(4)=8
確かにフィボナッチ数列のような雰囲気・・・。
フィボナッチ数列を定義づけている漸化式、 f(N−2)+f(N−1)=f(N)に代入してみると、
f(5)=13、f(6)=21、f(7)=34、 f(8)=55、f(9)=89、f(10)=144、 f(11)=233、f(12)=377、f(13)=610、 f(14)=987、f(15)=1597 というわけで、確かに先程の結果と一致します。
う−ん、としばらく考えて・・・
なるほど連敗(2連敗以上)しないということは、 次の2つのケ−スがあるということに思い至りました。
1つは、(N−1)試合目までがどうであれ、N試合目に勝てばいいわけです。
もう1つはN試合目に負ける場合ですが、 これは(N−1)試合目が勝った場合にのみ許されるわけです。 この時、(N−2)試合目までの勝敗は問いません。

つまりこの場合もまた確かに、
f(N−2)+f(N−1)=f(N)が成立しているのです。

この問題をNO.201では、組み合わせ(Combination)を使って解きました。 ということは、フィボナッチ数(フィボナッチ数列に登場する数をこう呼びます。)は、 必ず組み合わせ(Combination)の和として表せるということなのでしょうか?



NO.211     11/22    水の流れ     大相撲本場所(6)

参考図のようなパスカルの三角形(二項係数)を斜めに足すと、 フィボナッチ数列になります。

<参考図> パスカルの三角形(二項係数)

        
       
      
    
   
1010   
1520 15 
2135 3521

数式でかくと、次のようになります。

フィボナッチ数列をF(n)とすると、F(1)=1、F(2)=1、F(3)=1+1=2、 F(4)=1+2=3、F(5)=2+3=5、・・・

F(n+1)=n−1n−2+・・・+

F(n+2)=n+1n−1+・・・+m+1
ただし、n=2mで、m≧1、n≧2の自然数とする。2つの組みで考える。




NO.213     11/25    Junko     大相撲本場所(7)

NO.211にあるパスカルの三角形を見て、 本当にびっくり、感激しました。 確かに斜めに足していくとフィボナッチ数が現れてきます。 こんなところでつながっているとは! 神秘を感じます。



NO.214     11/25    水の流れ     大相撲本場所(8)

大相撲の問題の続きです。
もし、3連敗しない方法(2連敗まで許される)場合は  1,2,3,4,・・・、15日ではどんな数列に なるでしょう。長方形の問題ではどんな変化になるでしょう?



                           

NO.215     11/28    ヴァー     大相撲本場所(9)

水の流れさんのNo.211の主張が,その主張どおりフィボナッチ数列の式「F(n)+F(n+1)=F(n+2)」を満たしていることを証明してみましょう.
この証明では,組合せ「nCr」について常に成り立つ等式(恒等式)

nCr+nCr+1=n+1Cr+1

を利用します.

< F(2m)+F(2m+1)=F(2m+2) の証明 >

まず,No.211から,

F(2m) = 2m-1C0 + 2m-2C1 + .. + mCm-1
F(2m+1) = 2mC0 + 2m-1C1 + 2m-2C2 + .. + mCm

であり,この2つの式を足し合わせると,

左辺 = F(2m)+F(2m+1)

で,

右辺 = 2mC0
+(2m-1C0+2m-1C1)
+(2m-2C1+2m-2C2)
+...
+(mCm-1+mCm)
= 2m+1C0+2mC1+2m+1C2+...+m+1Cm
= F(2m+2)

になります.
ここでは,はじめの項では,2mC0=2m+1C0を用いていて,( )の部分では先の等式を用いています.

<F(2m+1)+F(2m+2)=F(2m+3) の証明 >

先程と同じく,No.211から,

F(2m+1) = 2mC0 + 2m-1C1 + .. + m+1Cm-1 + mCm
F(2m+2) = 2m+1C0 + 2mC1 + 2m-1C2 + .. + m+1Cm

であり,この2つの式を足し合わせると,

左辺 = F(2m+1)+F(2m+2)

で,

右辺 = 2m+1C0
+(2mC0+2mC1)
+(2m-1C1+2m-1C2)
+...
+(m+1Cm-1+m+1Cm)
+mCm
= 2m+2C0+2m+1C1+2mC2+...+m+2Cm+m+1Cm+1
= F(2m+3)

になります.
ここでは,はじめの項では,2m+1C0=2m+2C0を用いていて,同じように最後の項では,mCm=m+1Cm+1を用いています.
また,( )の部分では先の等式を用いています.

この証明は,No.211の表に対応させると次のようなことを表しています.

例えば,赤の部分は,黄色とオレンジの数字の和になっていることを表しています.
同じマスに2つの矢印が流れ込んでいるのがその「和」になっていることを示しています.



NO.216     12/1   Junko     大相撲本場所(10)

N試合中、3連敗しない(2連敗までは許される)場合の数 をG(N)とします。

具体的にいくつか調べてみます。

  1. N=1
    「○」か「×」 より、G(1)=2
  2. N=2
    「○○」「○×」「×○」「××」より、G(2)=4
  3. N=3
    「○○○」「○○×」「○×○」「×○○」
    「○××」「×○×」「××○」より、G(3)=7
  4. N=4
    「○○○○」「○○○×」「○○×○」「○×○○」「×○○○」
    「○○××」「○××○」「××○○」「○×○×」「×○×○」
    「×○○×」「××○×」「×○××」 より、G(4)=13
ここまで調べて考える・・・。
G(n)+G(n+1)+G(n+2)=G(n+3)  ただし、n≧1という性質を持っているかのかな?
フィボナッチ数列とよく似ていますね。
この漸化式について次のように考えます。


次の3つのケ−スに場合分けできます。
1つは、(N−1)試合目までがどうであれ、N試合目に勝てばいいわけです。
2つめはN試合目に負ける場合ですが、 これは(N−1)試合目が勝った場合にはOKです。 この時、(N−2)試合目までの勝敗は問いません。
更に3つ目は、N試合目に負けて、(N−1)試合目も負けた場合ですが、 これは(N−2)試合目に勝っていればOKです。
というわけで、G(n)+G(n+1)+G(n+2)=G(n+3) という漸化式が成り立っているというわけです。



NO.217     12/1   水の流れ     大相撲本場所(11)

この数列をトリボナッチ数列といいます。 トリボナッチは人の名前ではありません。 1つの数が前の3つ(トリ)の数の和で得られるので、 フィボナッチ数列の拡張です。



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